異文化コミュニケーションにおける『大阪のおばちゃん力(リョク)』
『多言語活動のメリット』を問われたときに、
「どんな人にも心を開き、どんなことばにも耳を傾けられるようになる」ということをよく聞く。
確かに私自身も、まぁそうだな、とは思う。
思うが、それだけではことばが足りないのではないかとも考える。
「相手が何を言ってるんだろうと思って、一つ一つの単語ではなく、中身を聞けば言いたいことはわかる。」
「伝えたい気持ちがあれば、ことばなんて通じる。」
真実である。
あえて多言語と言わずとも、人間のコミュニケーションというのはそういうものではないか。
どこへ行っても、どんなことばを話す人とも、日本語だけで見事にコミュニケーションが取れる人がいる。
一種の才能じゃないかと感じることもあるが、私は密かにその才能を
「大阪のおばちゃん力(リョク)」と呼んできた。
もちろん、尊敬の念を込めて、である。
大阪のおばちゃんのコミュニケーション力はすごい!
見知らぬ人でも外国人であろうと、すっとその懐に入り込む。
しかも嫌味がなく、笑いに包まれている。
ふだんからアレという指示語ひとつで様々な概念を表現し、数々の擬音語、擬態語、ジェスチャーを使い慣れているので、ことばの違いなどそう気にはならないのだろう。
あっという間に相手を自分のペースに引き込んで、十年来の友達のようにしてしまう。
いうまでもなく、この「大阪のおばちゃん力」は、大阪のおばちゃんの中だけに存在するのではない。
おっちゃんの中にも、ミナミを歩く倖田來未のようなキレイどころの中にも、幼稚園児の中にもある。
大阪人に限ったものでもないし、反対に妙齢の大阪女性だからといって必ずしも大阪のおばちゃんであるわけではない。
異文化コミュニケーションにおける大阪のおばちゃん力は、最強のものの1つだ。
「友だちになりたい」という目的であれば、それで不自由はないように思う。
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さて、多言語である。
大阪のおばちゃん力の先にあるものが、その世界にはあるのではないか。
それこそが現在の私の研究テーマなのだ。
多言語という複合的な音とイメージの世界を持つ人間の中に起きる不思議を、もう1歩踏み込んで見つけていこうと思う。
BGMは、ウルフルズの「大阪ストラット」でした。