『DNAの冒険2008』 #1

ヒッポファミリークラブのワークショップの打ち合わせに行ってきた。

今回のワークショップでは、ヒッポから出版されている『DNAの冒険』という本を切り口に、各人のことばの体験をひもとき、そこに自然の秩序を探ってみたいと考えている。

DNAの冒険―ことばと人間を自然科学する

DNAの冒険―ことばと人間を自然科学する


手元にある初版本の奥付には1998年3月21日とあるから、出版はちょうど10年前だ。

「あれから10年・・・」
って、綾小路きみまろではないけど、当時のトラカレ生たちとの思い出がよみがえり、ちょっと懐かしい気持ちもある。

今また読み返しながら、自分自身のことばの体験を記述していく手がかりになればと思っている。


この本が書かれたいきさつが序章に書かれていたので、少し長いが引用してみよう。

 このトラカレでDNAの冒険に出発することになったのは、私たちの命題、「ことばと人間を自然科学する」があったからでした。ことばを話す人間は、自然な存在で、そのことばも当然、自然の現象です。その「ことばと人間」の背後に普遍的な自然のプロセスを見出すこと、それが「生きている」ことの全体を捉えることになるのではないか。それが私たちの視点です。
 物質から生命が誕生し、その生命の中に人が生まれ、ことばが生まれました。40億年前に誕生した生命が、脈々と今日まで続いているのです。生命体は、実に多様で、実に精巧にできています。個体を作り上げている細胞は複雑なネットワークを築き、ひとつの秩序系として存在しています。ことばも表面的には、複雑で、多様に見えますが、まさにそのことばの中に秩序を見つけているのでした。だからこそ、赤ちゃんは誰でも生まれた環境のことばがしゃべれるようになるのです。
 その生命の秩序と、ことばの秩序が、別物であるはずはありません。ことばと人間は自然の存在として誕生したのですから、自然の秩序に則っているはずです。生命も同じです。物質から生命、ことはまでをつらぬく、自然の秩序があるに違いないと思えるのです。
 生きている私たちの存在は、不思議といえば不思議です。でも40億年の歴史を経てきた生命の営みと考えると、何だかほっとするのです。生命という全体が、生み出され、形作られてきた、40億年の大冒険。ことばと人間はその冒険の中で、自然の存在として生み出されてきたものなのです。


10年が経ち、分子生物学の世界ではさらに様々なことが解明されてきた。

ヒトゲノムも予想をはるかに超えるスピードで読み解かれ、
今日の夕刊では、ES細胞(胚性幹細胞)から赤血球のもとになる細胞株を作ることに成功した、と報じられた。


私たちの10年分の体験は、どう読み解かれてきたのだろう。

私の『DNAの冒険2008』が、今、はじまろうとしている。