『ウェブ時代をゆく』 梅田望夫著

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

書店の話題書コーナーで見かけてから、この本を読む前に少し著者のことを知っておこうと、

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)』(2006年2月刊)
ウェブ人間論 (新潮新書)』(2006年12月刊、平野啓一郎氏との対談集)
フューチャリスト宣言 (ちくま新書)』(2007年5月刊、茂木健一郎氏との対談集)

と続けて読みました。

面白かった!です。


私のような「インターネットは毎日使っているけれど、仕組みのことなど全くわかっていない文系ユーザー」にとって、ネットの「あちら側」はまさしく未知の世界。

なのですが・・・


オープンソース・コミュニティというのが、hippo family club のネットワークのつくられ方に似ているなぁと思いました。

多言語の自然習得という大命題のもと、プロフェッショナルによる教育を放棄し、ひとりひとりが自発的にかかわり、試行錯誤しながら「自然に言語が習得される環境」を創る。
そこには、何の強制もなく、楽しい、面白い、という気持ちが突き進むエネルギーの元なんですね。
そして、体験がシェアされることで、全体がまた新たな階層へと進む、といった具合に。


オープンソースプロジェクトが成功するか否かは、
「人生をうずめている人がいる」かどうかだということなんですが、
まさしくそれが、榊原陽氏だったのでしょう。

もちろん hippo は「こちら側」リアルの世界にあるので、同じようには考えられないのですが、「ことばと人間」をテーマにしている私にとっては、有機体のように自己増殖するネットワークというものについて考えるヒントをもらいました。


もう1つ印象的だったのが、
「未来を創造する」という著者の強い意志です。

「新しい事象を積極的に未来志向でとらえ、挑戦する若い世代を励ましつつアドバイスを与えることのできる「知的で明るい大人」が増えなければ、未来の創造はできない。未来は能動的に変えることのできるものだが、そのエネルギーはオプティミズムが支えるのだ。理解できない新しいものに直面したとき、達成を賞賛せずに、その不具合や問題点を探し、悪いところばかりをネガティブに捉え、せっかく生まれた新しい芽を摘もうとしてばかりいれば、誰も新しいものを創造しようとしなくなる。」 (14頁)


私も小中高生に接する機会が多いので、「知的で明るい大人」となって、意識的に明るい未来を描いていきたいと思いました。



「創造のふるさとは未来にある。
そこから、ことばの神々が送りだす風がしずかに吹いてくる」
 
『ことばを歌え!こどもたち』より

ことばを歌え!こどもたち―多言語の世界を開く